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弦巻啓太

新しい活動、実験的公演、集大成、代表作。


随分と間が空いてしまいました。 前回投稿したのは3月末に上演した「わたしたちの街の『ジュリアス・シーザー』」の時なので、2ヶ月ほど何も書いていませんでした。 その間もちろん何もなかったわけではなく、様々な準備に追われていました。きちんとまとまってからお伝えしようと思っているうちに、こんなに時間が経ってしまいました。 劇団のこれからがドドドと公開されてますが、弦巻楽団は今までにない活発な活動を迎えることになります。 まず今月6月には3年目となる明園中学校での学校公演があります。『神の子供達はみな遊ぶ』をリ・クリエイション中です。10年前の戯曲ですが、各地で上演されてきたシンプルなコメディである(だからこそ難しい)この作品に、劇団員3名と高岡諒一くん、遠藤洋平さんを交えた5名で取り組んでいます。残念なことに一般公開はありません。ただ、劇団として「いつでも上演出来る」レパートリーとして育てて行くつもりなので、上演出来る機会を探っていきたいと思ってます。 7月には北海道大学 CoSTEP との共同企画『私たちが機械だった頃』を1日2ステージ限りで上演します。科学技術コミュニケーションについて研究されている北海道大学 CoSTEP からお声がけがあって、昨年から打ち合わせと計画が進められてきたこの企画は、原案をCoSTEP が、脚本演出を弦巻が担当するコラボレーション企画です。劇を見て、観客同士でディスカッションをしていただく今までにない実験的な公演です。 出演は村上義典、池江蘭、岩杉夏、塚本奈緒美、袖山このみ(劇団words of hearts)の、楽団作品常連と言っていい信頼できる5名です。 作品は「エンハンスト」と呼ばれる分野を題材にしています。もともとは宝石の加工技術を指すこの言葉をテーマに、女優4名と男優1名が冷たい火花を散らす作品になります。 現在定期的にエチュード形式で討論を重ね、少しずつ作品にしているところですが、稽古の疲労が半端ありません。出演者の5人も毎回神経をすり減らして創作中です。 8月には弦巻楽団が総力を挙げて行う超大作『ワンダー☆ランド』が控えてます。札幌演劇シーズン2019夏に参加する、出演23名、全10ステージのお祭りです。弦巻が2003年に「シアターユニットヒステリックエンド」時代に書き下ろした生涯の最高傑作。本人も熱望していた再演が実現します。出演は弦巻楽団をこれまで支えてくれた実力ある客演陣+弦巻楽団演技講座で力を伸ばし輝きだした新星+劇団員の布陣です。23名の出演者ながら、全員が弦巻演出の経験者という今回しか成立不可能な信頼できる出演者達です。 完成度の高いウェルメイドコメディを目指す、と言ってたのはなんだったのか、と思われるほどのファンキーなスクリューボールコメディ。怒涛の37シーン。弦巻楽団らしい笑いと胸を衝く物語が束になってとぐろを巻いて客席に襲い掛かります。紛れもない、愛と希望と、自由についての舞台です。 その大騒ぎが終わった翌月の9月には、弦巻楽団屈指の代表作『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』がなんと1年半のインターバルで登場します!昨年札幌演劇シーズン2018冬の「レパートリー作品」として上演されたバージョンの出演者が、全員揃って再演に臨みます。主演は大好評だった青年団の永井秀樹。音楽に東京を中心に活動する加藤亜祐美さんを迎えて、新しい『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』が産まれます。今回の再演に合わせて東京公演も行います。ありがたいことに道内の芸術鑑賞公演にも招ばれ、10月末までツアーします。 そうした公演活動の他に、弦巻楽団はこの春から大きな、新事業を始めました。 コラボレーション企画  弦巻楽団 × 高校演劇部 です。 これは弦巻楽団と高校の演劇部でがっちりと一緒になって弦巻作品の上演を行おう!あわよくば劇場公演までやってしまおう!と言う企画です。パートナーとなってくれる高校演劇部さんと、基礎稽古から本番までの様々なことを、全部、頭からお尻まで一緒に行います。「指導」ではありません。あくまで「創作」です。弦巻楽団と、なので弦巻が一人で講義を行う「ワークショップスタイル」ではなく、場合によっては団員達も一緒になって創作に参加する、本当に、ある意味いたって特別なことのない「芝居作り」を行う、というものです。 何故始めようと思ったかはいくつも理由があります。その大きなひとつは沢山ワークショップを行う中で、伝えた内容の「点」を、公演までの「線」にして理解してもらう必要をずっと感じていたからです。楽しいワークショップだけで終わらない演劇体験。高校生が自分たちで演劇活動を行う指針となる活動。劇場を借りて公演を行うという、社会とつながる行動を支援する内容。そんな要素を満たす活動として、このコラボレーション企画は考案されました。 高校演劇部さんには費用の負担を一切かけずに行うのもこの企画のポイントです。本当です。 (遠方の高校さんの場合、交通費の相談などする可能性はありますが、参加料、上演料、劇団員に対する「指導料」などは一切頂きません。) 一年に一つの高校と一つの作品、ぐらいのペースで続けていく予定です。 現在2020年度のパートナー高校を募集中。時期や作品はご相談できますが、現在楽団では来年5〜8月にかけて一緒に芝居作りをしてくれる演劇部を求めています。 実は既に2019年度のパートナーとの活動が始まっています。 記念すべき第一回目のパートナー演劇部は 新陽高校演劇部さん! 昨年始動した、まだ新しい演劇部さんです。4月から弦巻が通い、現在『神の子供達はみな遊ぶ』の2019年バージョンを稽古中です。今回は事情もあり一般公開はしない予定でしたが、つい先日、校外での公演が実現する運びになりました(やった!)。 追ってお知らせします。 そんな怒涛が秋まで続きます。 それぞれがそれぞれ、まったく意味合いの違う挑戦となってます。新しい舞台の創作と、これまでを見つめ直す総決算による検証を重ねられる今の状態を嬉しく思っています。 この一つ一つを目撃してもらった時の驚きが今から楽しみです。 そんな状態になれたのも、この春まで頑張ってきた団員4名の力が大きいです。もちろん、他にもたくさんの方々に支えられています。ポンコツなところも多い4人ですが、弦巻一人では絶対に出来なかったことを可能にし、劇団の可能性を広げてくれました。 しかし4人は4人。けして多い人数ではありません。そんな弦巻楽団に春のオーディションで新人が二名入団いたしました。 すでに毎日稽古がある現在のハイペースな弦巻楽団の活動にがっちり喰らい付いてくれています。 団員紹介ページに近々写真付きでアップします。客演陣からも「とても良いね」と言われた今までの弦巻楽団にない、欠落していたポジションに収まる有望な二名です。 札幌で活動を続けるうちに見えてきたもの、必要と感じるもの、それと同時に、自分にとって楽しむための活動。全部を欲張って、やっていきたいと思います。 今まで以上の応援を、どうかよろしくお願いします。 代表 弦巻啓太


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