幕が開きました。
そして早くも5日目、折り返しています。これから5ステージ目です…と書こうとしているうちに、最終日になってしまいました。
おかげさまで、初日はたくさんのお客様が教育文化会館に集まってくれました。笑い声が、終演後の拍手が、お帰りになる足取りが、作品の充実と共有した時間の豊かさを伝えてくれました。そして初日以降、急増したご予約や当日券をお求めの方の数(!)。愛された舞台だなあ、と思います。
恵まれた作品です。
なんせ今回で5演目です。2度、3度どころか、13年前の初演から観てるという方までいらっしゃいます。
そして幕を開けてから当日券をお求めの方がどんどんと増え、昨日はもう一歩で満席…!にまで。
作品の、作っているキャスト・スタッフに感謝します。彼らの魅力が詰まりまくっています。
先日取材してくれた方が感想を送ってくれました。初観劇だったようで「演劇のイメージが変わりました」と。とても嬉しかった。そもそも、こんなに突飛なことを“していない”劇団や舞台もそうないと思います。だからこそ嬉しい感想でした。“突飛なことをしていない”替わりに、そこには僕なりの『演劇ならでは』の要素やマジックやトリック、小細工や飛躍が、つまりは魔法が、こめてあります。さりげないようでいて、普通のようでいて、劇場でしか体感できない感動。そこを目指して弦巻楽団は活動しています。
『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』は、そうした意味で札幌でお芝居をやってる若い人達に観てもらいたい。特に脚本を書いたり演出をしたりする人に。中学生や高校生も勿論、大学生も。この舞台が好きな人も嫌いな人もいるでしょう。しかし、ここに詰まってる(それは僕だけじゃなく、全スタッフの)技術や工夫や哲学や知恵は、学べる事や盗めることがたくさん詰まってます。反面教師にしてくれるだけでもいい。
初日は舞台上のシェイクスピアを描いた女性が観に来てくれました。描いた、つまりアレ手描きです。11年前の再演時に新たに増えた美術でした。想像以上に見事なシェイクスピアが出来てきてびっくりした記憶があります。そして舞台監督の上田くんがずっと保管してくれてました。昨年札幌劇場祭のチカホイベントでも登場した絵です。ぜひ舞台でどう活躍するか観て欲しい。
公式サイト「ゲキカン!」に「ユー・キャント・ハリー・ラブ!」の感想がアップされています。
第一便は島崎さん。「堂々たる舞台だ。ちゃんと笑えて、いい気持ちにさせて、客を満足させて家路につかせる。観ただけで人生が少し豊かになる、そんな舞台が札幌にあることがうれしい」。
第二便は悦永弘美さん。『…もし人生初の観劇がこの『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』だったのならば、間違いなく演劇の世界にハマっていただろう。それほどまでに、楽しさや喜びとともに、大団円まで一気にすべての客を引っ張ってゆく引力がこの作品にはある。』
札幌演劇の感想を語るサイト「札幌観劇人」でも感想が上がっています。
『初めてお芝居を見る人にうってつけ』とここでも言われています。嬉しい。
この舞台には引用されるシェイクスピア作品、台詞がたくさんあります。
興味を持たれた方のために『ユー・キャント・ハリー・ラブ!』で登場するシェイクスピア作品の一覧…『ハムレット』『冬物語』『お気に召すまま』『ロミオとジュリエット』『恋の骨折り損』『から騒ぎ』。タイトルが口にされるだけのものも入れると、『リア王』『タイタス・アンドロニカス』『シンベリン』『ヘンリー六世』『ヴェニスの商人』『トロイラスとクレシダ』『テンペスト』『夏の夜の夢』『ペリクリーズ』『じゃじゃ馬馴らし』『終わりよければすべてよし』。劇中引用される「フォルスタッフ」は『ヘンリー四世』と『ウィンザーの陽気な女房』に登場する女好きでこずるい、人気キャラクターです。
知っていると楽しめ、知らなくても全然楽しめる事は保証します!
今回市内の中学2年生に芸術鑑賞公演として一足先に観てもらいました。
こちらの懸念を吹っ飛ばすのめり込みで、ぐいぐい物語に乗って笑ってくれました。殆どの生徒さんが初めて演劇を観たらしいです。彼らの中に「演劇」のイメージを作る最初の扉になるのは緊張でもあります。最後の拍手を聞いて、安心しました。
観てくれた中学生が、一人でも興味を持ってシェイクスピアを借りてくれたなら、こんなに嬉しいことはありません。最初に読むのにお薦めは『マクベス』か『から騒ぎ』。それとやっぱり『ロミオとジュリエット』。言い回しが回りくどいけれど、まずは勢いで読んでもらえると良いな。
初めて見る方だけじゃなく、何度も見てくれている人がいる事もこの作品の恵まれたところです。4日目までに3回足を運んでくれた方がいました。過去の初演~再演を通して観てくれている方も。
何度も観てる方の感想を読んでいて気づいたのは、このラブコメディを結末が分かっているからこそ、愛してくれてのだという事です。それこそ、自らの恋の大切な思い出のように。多分、2回目に観ても、2回目だからこそ、の、可笑しさや切なさが宿るのかもしれません。数年ぶりに見れば、数年ぶりに再会したからこその。鴻上尚史さんの言葉で「大人になり、夢中で恋する事がなくなっても、『かつて夢中で恋をした記憶』は、心を温めてくれます。それはある意味、夢中で恋をする以上に温めてくれます。」僕もそう思います。何度も観てくれている方は、そんな重ね方をこの舞台にしてくれているのかもしれません。
かつて恋に落ちた全ての人に。これから恋に落ちる全ての人に。
幕を開けてから思いついたコピーです。
フェイスブックに上がっていた知人の感想。『実はあるシーンで思わず役者の台詞に日常のように言葉を発した瞬間がありました。それ程寛いだのかもしれません。舞台と一緒になれるのは嬉しい瞬間です。』ーーー客席でのお喋りはダメですが、思わず声が出るほど引き込めたのなら嬉しいです。そんな風に『舞台と一緒に』なってもらえたのなら最高です。
エンターテイメントにしたいといつも思ってます。
演劇ならではの舞台にしたいと思ってます。
この二つを両立させるために、舞台が一方的な「与える」空間にならないようにギリギリまで(それこそ、歩いて何步目に喋り出すかや、ドアを開ける音をどのタイミングに持っていくかまで)調整し、検証します。しました。
小屋入り初日、冒頭の場面を調整段階の照明の中で観て、涙が出てきました。
どうしてなのかは自分でもよく分かりません。恋の何かを思い出したのかもしれません。
でもそこにはずっと願ってきた舞台に求める『魔法』がありました。
これから千秋楽です。
今回のもう一つの目玉!札幌雪祭りに市民雪像で参加です!
お手伝いに来てくれた三人。
国際交流もしました。
小さなお子さんも手伝ってくれました。
節分の鬼もきました。
録音中の三人。
中学2年生の皆さん。ありがとう!
とままえ町民劇のみなさんが!!
アフタートークに出演してくれた永井さんと山田百次(ホエイ)。
アフタートークに来てくれた曽我夕子と塚本奈緒美。
11年前、シェイクスピアを描いてくれたナツ子!!!嬉しい!!!
これから恋に落ちるすべての人に。