劇団ナイスコンプレックス10周年記念公演『ナイスコンプレックス』は無事に全7ステージを終演しました。☆と★の2バージョンで上演された今公演、たくさんの方が両バージョンを観に何度も足を運んでくれました。
ありがとうございます。 何事も初めてのことばかりの公演でした。 キャストも、スタッフも初めての方ばかり。 あまつさえ、弦巻の演出舞台を観たことがある方も殆どいない。 お互いの方法論を擦り合わせ、共通言語を探すところから稽古場はスタートしました。 東京で芝居に触れてきた俳優たちの身体には、札幌の演劇人とは違う緊張感やこわばりがありました。それが彼らにとっての舞台であり、演劇で生きて行くと言うことであることはすぐに理解できました。できるだけ、そうしたこわばりを取り外すように、場面を作り、稽古を積み重ねていきました。演出家として答えを用意することより、分からないから考えてみよう、を大事にしました。 上手さというのは諸刃の剣です。もちろん、立つ舞台によって、主催者の考え方によってそれは変わってくるでしょうが、「上手さ」と言うカテゴリーに当て嵌められた時点で「上手さ」は「上手さ」では無くなってしまう。自分はそう考えます。 たくさんの現場で様々な演出家のもと舞台に立ってきた彼らは、僕の「イメージ」に到達しようと奮闘してくれました。自分はそれが形になってしまう直前(あるいは直後)に、もう一度ゼロから考え直したり、横槍を入れて別な考えを提示したり、まぜっかえしたりしていました。 初めは不安もあったかと思います。 ですが、1週間も経つ頃には、皆そうした稽古を楽しんでいるようでした。 分からないから考えてみよう。 それは作品のテーマにも関係します。 悲しい現実を題材にした物語。 自分はそれを当事者としては語れませんでした。当たり前ですが、当事者じゃないのですから。 登場人物に感情移入をさせない、と言うのが最初の取り掛かりでした。この現実、実際にあった事件を傍観するような舞台にしたかった。 悲痛な現実であるなら、悲痛な関係性に何か感じたり考えてもらいたい。「悲痛な個人の感情」では無く。それが最初の目標でした。 外からの目線を配置し、 主人公をほぼ中央に置き続け、 何度も客席に(あるいは登場人物に)背中を向けさせました。 劇中の言葉を借りれば、「見ていなかった」にしたと言うことです。 主人公も。観客である我々も。 終わってみれば(いつものことですが)「あそこはこうしておけば良かった!」など反省ばかりが浮かんできます。 そんな演出を支え、不安を抱えながら舞台に立ち続けてくれた役者の皆さんに感謝します。そしてスタッフの皆さんに。美術の樹一郎君は演劇部の後輩にあたる男性で(4歳下)、中国で舞台美術家として研鑽を積み、東京の演劇界で活躍中です。 照明の仲光さんとともに、演出が提示したいわば「裁かれる場」「見詰められる場」としての舞台を作ってくれました。 同じく札幌出身の今回の作曲をしてくれた橋本さんは、1時間にも満たない打ち合わせから「それ!」という曲を作ってきてくれました。びっくりしました。 「どんな場面に流れても違和感が無く(あるいはマッチしすぎず)」 「山場や盛り上がりが無く」 「淡々と、同じ気分に係留されるような」 そんなオーダーで見事な曲を仕上げてくれました。 ありきたりな言い方ですが、出会いに満ちた仕事でした。 スタッフに、俳優陣に、観客に。 そんな場所を与えてくれたナイスコンプレックスに、代表であるキムラ真くんに感謝を。 本番の後、キムラくんが涙まじりに感動を伝えてくれた時、ようやくホッとしました。 そんな劇団ナイスコンプレックスの「ナイスコンプレックス」、早速DVDが発売されます!ご予約はこちらから!
札幌に戻ってきて、弦巻は早速翌日から高校での講義と、楽団演劇研究講座が始まりました。 演技講座はおかげさまで2クラス16名の参加者が集まりました。ありがとうございます。 今年は2学期にも大きな発表公演を行います。ご期待ください。 そして6月のインディペンデントに向けて深浦佑太と一人芝居をつくります。そしてそして、7月には上演直後から再演希望の高かった、あの『ナイトスイミング』が帰ってきます。 もう一度桜が見れると思うと嬉しい弦巻でした。
公演を見る前のキムラくん。
円陣。
劇場ロビーが居心地良い。
キムラくんの炊き出し!
炊き込み御飯!!
9年前!の東京公演時に出演してくれた親泊君が来てくれました!
現在東京在住、演出家コンクールで共に戦った栗橋さんが来てくれました!
ほとんどのキャストが2役で大変でした。
てっちゃん!
さくまとちひろ。コリオレイナス親子。
モモジ!ありがとう!
12年前ひまわりで少し教えていた徳ちゃん!
公演を見た後のキムラくん。